弊社では、大手ゼネコン各社様からのご依頼を受け、建築施工図作成を中心とした業務に携わっています。
最近建築業界でよく⽿にする“BIM”という⽤語ですが、
従来から広く使われているCADとの違いについて、本記事で解説していきます。
CADとBIMの違いについて
前提として、この記事でいうCADとはいわゆる2DCADのことを指し、
2次元で建物に関する図⾯を表現するようなソフトウェアのことを指します。
⼀⽅、BIMとは、“Building Information Modeling”の頭⽂字をとった略語で、
RevitやArchicad等のソフトウェアが有名です。
ざっくり⾔うとBIMとは、
【3次元で建物を表現し、さらにそれぞれのパーツに多くの情報を紐づけることで、
建物情報を⼀元管理することができる⼿法】といったようなものになります。
これだけではあまりイメージが湧かないと思いますので、
BIM だと何ができるようになるか下記の3つのポイントに沿って説明していきます。
1. 分かりやすい3Dでイメージの共有が容易
2. 1つのモデルがすべてのデータに連動しているため、
図⾯間の不整合が削減される
3. 建築物の各パーツに情報を与えることで、集計や管理等が容易になる
1. 分かりやすい3Dでイメージの共有が容易
建築物は、通常1つの平⾯図だけで表現しきることは難しく、
⽴⾯図や断⾯図等も⽤いて表現することは必要不可⽋となります。
例えば関係者間で、下記のような形状を検討するとします。
(建築物とは程遠い形状ですが、
ここでは概念を掴みやすいように、このような形状とします。)
上の形状は3Dで表現していますが、
この形状を2D図⾯のみで表現しようとすると、
下記のように2つの図⾯が必要となります。
こうしてみると、どちらが分かりやすいかは⼀⽬瞭然です。
実際の建築物はこのような単純形状ではもちろんない為、
2D図⾯だけで関係者と認識を⼀致させるのは、さらに⼿がかかるのは明らかです。
細かい⼨法や表現等は、2D図⾯でまとめてしまった⽅が分かりやすいことも多いですが、
あくまで検討や説明⽤でイメージを共有することが主な⽬的であれば、
3Dの⽅が得意であると⾔えます。
特に2Dの図⾯に慣れ親しんでないお客様等に対しては、
3Dであれば想像がつきやすく、検討も円滑に進みます。
また、曲線や斜めの線をもった形状等は2D図⾯だけで表現するのはさらに難しくなります。
このような背景もあり、設備分野等では
縦横無尽に配置される配管を3Dで検討する等、3Dの利⽤が進んでいます。
2. 1つのモデルがすべてのデータに連動しているため、
図⾯間の不整合が削減される
建築図⾯を描くにあたり、建物規模が多くなればなるほど、
当たり前ですが図⾯枚数は膨⼤になります。
そういった場合に、よくあることとして、
各図⾯間の不整合が⽣じることが挙げられます。
先ほどの形状を例にとり、どういったことなのかを説明します。
下記のように、例えば、⻘⾊の⽴⽅体を削除する、という変更があったとします。
通常のCADの場合、先ほどの2Dの平⾯図・⽴⾯図の2枚をそれぞれ修正する必要があります。
しかし、⽴⾯図の修正が下記のように漏れてしまったと仮定します。
この時、第三者が平⾯図と⽴⾯図を⾒た場合に、どちらが正しいのか判断がつきません。
平⾯図と⽴⾯図の整合がとれていないからです。
このように、通常のCADで2D図⾯のみで検討を進めていく場合、
このような⼈的ミスによる図⾯間の不整合が起こります。
しかし、BIMでは、このような不整合は起こりえないようになっています。
なぜなら、BIMにおいては、最初にアイソメで⽰した3Dモデルを作成・修正していく為、
3Dモデルに変更を加えれば、
⾃動的に平⾯図も⽴⾯図もその変更に応じて修正されるようになっているからです。
より正確な表現をすると、BIMで出⼒する2D図⾯はあくまで
“指定した⾓度から3Dモデルを投影したビュー”である為、
このような図⾯間の不整合が起こりえない、ということになります。
このように、従来の2DCADでは、
図⾯種類や階数等によって、多くの図⾯ファイルがバラバラに存在することで、
ある図⾯での修正を他の図⾯でも反映させなければいけないような場合に起きる
【修正し忘れ】が起き、図⾯間の不整合が起きやすい構造となっています。
しかしBIM においては、
基本的に1つの建築物の3Dモデルデータを中⼼に作業が⾏われる為、
このような⼈的ミスが起こりにくい構造となっているのです。
(※補足:
また、例えば⾃分の担当と取り合うような他の担当箇所の変更等も、
1つの3Dモデルで管理されることで、修正がリアルタイムで反映され、
変更があったことを知らなかった、というような事態を防ぐことが出来るようになります。
蛇⾜ですが、断⾯についても、3D モデルを⼀度作成してしまえば、
⾃由⾃在に断⾯を簡単に切ることが出来る為、
各断⾯をいちいち描き起こすといったCADで⽣じるような⼿間は減ります。
勾配のレベル等も、
最低限必要なポイントのレベルと勾配を3Dモデル上で指定すれば、
任意のポイントのレベルをいちいち計算する⼿間は省けます。)
ここまで、BIM がもつ3D機能という点に関連したメリットを解説してきましたが、
最後は【情報】という点で解説していきます。
3. 建築物の各パーツに情報を与えることで、
集計や管理等が容易になる
冒頭に説明した通り、BIMという略語には”Information”(情報)が⼊っており、
この【情報】がBIMの最⼤の特徴といえるかもしれません。
例の通り、簡単な下記のモデルで解説していきたいと思います。
例えば、灰⾊の⽴⽅体部分がコンクリートだとしましょう。
そうした場合、この3Dモデルを作成した時点で、
このモデルのコンクリートの数量が簡単に分かったら便利だと思いませんか︖
従来の⽅法であれば、
コンクリートの数量を拾う為に、躯体図等から必要な⼨法を抽出し、
計算するといった⼆度⼿間が発⽣します。
しかし、実際にそういった集計がBIMだと容易にできるようになります。
考え⽅としては、灰⾊の⽴⽅体3D モデルにコンクリートという材料情報を付与し、
コンクリートという情報が⼊⼒されている3Dモデルを
建築物全体のモデルから抽出する、といったものです。
つまり、システム上で、灰⾊の⽴⽅体は【躯体】と認識させ、
他のモデルと区別させる、といった具合です。
コンクリートの数量拾いはあくまで⼀例ですが、
このように、従来のCADではあくまで線の集合体だったものが、
BIMでは各モデルに情報を付与することが出来るので、
その情報を⽤いて様々なことが出来るようになるということです。
以上、3つのポイントに絞って、CADとBIMの違いについて解説させて頂きました。
最後までお読みくださりありがとうございます。
少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
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